28 November, 2019

農ボラへ行ってきました



 信州農業再生復興ボランティアプロジェクト、通称「農ボラ」へ行ってきました。

 長野市善光寺から北東の穂保地区。台風19号によって千曲川が決壊し多くの家屋が被害を受け、収穫前のリンゴ畑は泥水に浸かりました。

 ずっと気になっていた縁もゆかりもある場所、信州。災害ボランティア、というと、気合が入りすぎてしまうのだけど、仕事がやっとひと段落して、ちょっとお手伝いできるような場所、ことがあるならば行ってみようと出かけてきました・・・ちょうど新蕎麦の季節だし。

 災害ボランティアで遠くから参加する場合は、各交通機関に優遇措置があります。ぼくは前日に申請書類をプリントアウトして高速道路往復無料でした。オートバイで行きたかったけど11月末の信州の冷え込みと、被災現地の様子、作業に伴う荷物を考えると車の方が安心でした。車中泊もできるしね。
ボランティア活動保険も台風大雨に関わる活動については、特例としてWebから加入申請できるため、現地でスマホで申し込みました。





 仕事は、見渡す限りの農園の中に流されてきた漂流物を回収して一か所に集めることと、リンゴの木の周りの堆積した土を剥ぎ取る作業。河から押し流されてきた土砂はとても目が細かく、地中にある根が窒息してしまうとのこと。リンゴの木が呼吸ができるようにするための作業。浅いところ深いところ、土の重いところ軽いところ、見極めながら、幹や根を痛めないように堆積した土砂をスコップで削り取る。


 久しぶりの土掻き作業に息が上がって、見上げると、晩秋の青空に真っ赤に色づいたリンゴが。



 このリンゴは氾濫した水に浸かっているからもう食べれない。上の方で水がかぶっていない実も、汚泥の埃や粉塵にまみれている以上、商品としては市場に出せない。こんなに立派に育った実なのに。

「本来ならば収穫して実がなくなっている時期だけど、たくさんの実がついているから栄養を送るために葉も落ちない。つまり、リンゴの木はまだ休めていない。だから、本当は実も落としてやらなきゃいけないんだ」と園主さん。


 作業をしながら聞いた話では、収穫できなくなった今年の分に関しては、保険でなんとか補えるかもしれないと。しかし、流失してしまったり水没して使えなくなった農機具を新たに揃える金銭的な負担は大きい。そして、こうした作業をしても来年、しっかりと美味しい実をつけてくれるかは正直やってみなければわからないという。作業をしながらそんな話を聞いているとやり切れなくなってくる。

 それでも、雪が降る前にこれだけはやっておいた方がいい。やれることをひとつづつ、そうやって、目の前のリンゴの木、一本一本に語りかけるように土をどけた。








決壊した土手付近。







  雨が降らなければ、毎日作業が続いています。
時間がある方、体力に自信のある方、気持ちが溢れそうな方、

晩秋の信州に、お手伝いに出かけてみませんか?

蕎麦、美味いですよ。