ひさしぶりの夏空。お盆で信州へと帰省していたけれど、ずっと曇天模様。東京に帰る日になってはじめて青空が広がった。北アルプスの山並は雲に隠れたままだったけれど、陽射しは川底を照らし川面はキラキラと輝いた。
わんだぁえっぐのロングリバークルーズは安曇野を流れる万水川(よろずいがわ)をくだり始め、わさび田湧水群と合わさりながら梅花藻や水草美しい蓼川(たてかわ)、欠の川(けのかわ)と三角島近辺で合流し犀川(さいかわ)へ流れ出る。そのあとすぐ先で、常念岳や蝶ヶ岳を源流とする烏川(からすがわ)の流れと一緒になった穂高川(ほたかがわ)、北アルプス槍ヶ岳を源流とする高瀬川(たかせがわ)が犀川へ流れ込み三川合流する。その先のあたりまでを2時間半かけて下ってく。激しい激流はないけれど、これだけ多くの川の流れを一度に下るラフティングは他にあまりないんではないだろうか。
犀川はやはり槍ヶ岳を源流として上高地を流れ下り、松本平で木曽駒ケ岳源流の奈良井川(ならいがわ)と合流するまでを梓川(あずさがわ)と呼び、長野、埼玉、山梨県境の甲武信ヶ岳を源流として佐久平、上田盆地を西へ流れる千曲川(ちくまがわ)と長野市川中島で合流するまでを犀川と呼ぶらしい。その後、千曲川は新潟県へ入ると信濃川(しなのがわ)と名前を変え、群馬新潟県境の谷川岳から流れる魚野川(うおのがわ)と合流し日本海に流れ出る。いわゆる信濃川水系と呼ばれる日本で一番長い川の一部だ。
それぞれの場所から流れ出て、違う川筋をたどり、いくつもの川と別れ、合流し、その土地・場所で呼ばれる名前も変わり、そして最後は大河となって海へ注ぐ。その源流の多くはここから見上げる遠い山の上にあったり、なんだか壮大すぎて想像もつかないけど、多くの川が絶え間無く流れ、交わり、水湧き出るこの水辺は、たゆまなく続くぼくらの暮らしそのもののようで、いつ来ても心地のいい場所だ。
写真は翡翠。ヒスイ。こちらは糸魚川市が有名な産地。糸魚川といっても実は糸魚川(いといがわ)という川はない。(なぜかは知りません...)翡翠は白馬から日本海へ流れる姫川(ひめかわ)周辺でよく採取されている。ただの石は光を当てても通さないけれど、翡翠は光を当てると透過する。大きな原石は難しいけれど、一見して違うだろうな、といった白っぽい小さい小石も光を当てると黄緑色に輝きだす。なるほど、探し始めるとこれが面白くてやめられない。来年の夏はヒスイが多く漂着しているという翡翠海岸へ、石拾いに行こうかな。
東京へ戻り、ひさしぶりに畑へ行ったら茶豆が大豆になりかけていた。房の中で発芽しているものも。作物を育てるのは本当にむつかしい。植える、育てる、採る、食べる、それぞれに最良の時期、タイミングあって、その旬を逃すと台無しになってしまう。作物にだけ言えることではなく、すべてのことに言えることかもしれない。その時、その時にふさわしい時というものは確実に在る。
マルカメムシの卵もたくさんあったけれど、ほとんどは無事に収穫できた。夏の野菜を楽しめるのもあとわずかになって来たなぁ。しっかり、その瞬間に、一番美味しく食べておこうっと。