23 October, 2020

畑にて物思う

 日がのぼって、暖かくなって、日が沈んで、夜は冷え込み、
雨が降って、雨が上がって、その全てが糧になる。

 畑で起こることの全ては、まだよくわからないけど、
世の中に起こることの全ても、よくわからないけど、
確かなことはいくつかあって。

よくわからなくても、いいよ。いいんだ、それで。


22 October, 2020

数多の猫と写真の中で

 池口正和さんの写真展が外苑前のギャラリーで開催中。

 池口さんと初めて出会ったのは2008年、北九州で猫の写真を撮っていた彼が、東京の猫を撮るために上京してきたとき。当時はまだ大規模な猫の写真展が行われることも少なかった頃で、猫の写真を展示やインターネットで発表する作家さんも多くはなかった。彼の上京から、東京猫語り、4色の猫、東京猫物語と野良猫写真グループの活動が活発化していく。その中心にはいつも池口さんがいた。
 その彼が、12年にわたる東京での生活に終止符を打って、北九州へ帰る。それに合わせ急遽、セッティングされた個展。思えば池口さんの写真を個展で見るのは6年前の門司港での展示以来だ。

「月日は流れ、街も人も元号も変わり、猫も街から姿を消していった。僕の中の東京がどんどん記憶に変わっていく。」
 

 入り口にあるステイトメントの一節に貫かれた。彼はいま、カメラを持って街に何をみているんだろう。そしてぼくは。

 展示は12年間の東京での猫写真の集大成、未発表作品もふくみ、懐かしくもあり、驚きもあり。写真って、やっぱり人柄がでる表現なんだなって思った。
 nine gallaryさんの大きさもちょうど良い落ち着いた空間で、A3ノビに印刷されて横一列に並べられた作品はとてもみやすく集中できる。昔から池口さんの展示は変わらずこのスタイルだ。北九州時代、ラボでプリントマンだった彼の写真は当然ながらプリントがとても綺麗で、うちにも横たわっている10年選手となったEPSON PX-5600でもきちんとプリントすればまだまだいけるんだ、と嬉しくなった。
 いまはありがたいことに日々、仕事でシャッターを切らせてもらっているけれど、自分のために、そんでやっぱり、猫に向かってシャッターを切りたいな、そして個展したいな、って素直に思う、素敵な写真展でした。ぜひ。



池口正和 写真展  東京の片隅で

日程:2020年10月20日(火)〜10月25日(日)
時間:11時〜19時(最終日は17時まで)
場所:Nine Gallery(ナイン ギャラリー)
東京メトロ銀座線外苑駅 出口3より徒歩3分
入場料:500円


16 August, 2020

残暑お見舞い申し上げます。

  

 残暑、お見舞い申し上げます。 


 ブログの更新もなおざりに。気がつけば盛夏。夏が大好きなぼくにとって、長い梅雨が明けて念願の真夏の到来ですが、梅雨明けと同時に各地で災害級の暑さとか。今年はコロナ対策の外出自粛やマスク着用なんかもあって、気持ちだけでなくいろんな意味で、命がけででかける、そんな日常になってしまいましたね。 とはいえ、先日まで三密避けてソーシャルディスタンスキープして東北取材、今年は奥羽山脈を西へ東へ北上して青森まで往復2,250km。最終日は14時間運転しっぱなしの来週からは都内で料理撮影が何件か。


 みんな、なんとか元気でやっています。そちらはいかがですか。

こたえる暑さが続きますが、どうぞご自愛くださいませ。






 メンタリストDaigoさんの新著が発売になりました。
ぼくはカバー撮影だけですが、ぬこさま、みこさまに加え、 
あらたな保護猫のぴこちゃんも参加しています。

29 May, 2020

5月のおわりに


あぁ、今年はなんて春だったのだろう。 
と、いつか懐かしく思い出す日が来るのだろう。
とんでもない非日常が、日常と地続きでやってきた。
つながったまま、それがだんだん日常になってゆく。 

こんなに引きこもっていた5月は誰もがはじめてだよね。

家の中にあるものを掃除して、断捨離して、
集積場には連日たくさんのゴミ袋が出されていた。
買い物はストレス解消のひとつでもあるけど、
外出すらままならない中、ついつい家にいてポチッと。
オンラインでの注文が推奨もされて、とても便利で、頼りにした。

医療関係者と食料品販売の方々、
配送運送関係の方々、ゴミの収集や焼却の方、
緊急事態でもいままでどおり、いや、
いままで以上に奮闘しないといけなかった業種のみなさん、
ありがとうございます。

だれかのおかげで世の中が保たれていることを、
実際に目の当たりにする3ヶ月間でした。





たくさんの本を処分した中で、
あらためて大切な本を手に取ってみる。

ちょうど SNSの友人から、【7日間ブックカバーチャレンジ】のバトンが回ってきたこともあり何冊か紹介してみた。
備忘録も兼ねてブログに記録しておきます。(左上から時計回りに)






  1. 風の谷のナウシカ】 宮崎駿・作 1983年 徳間書店
    名作、全七冊。大学時代に友人に借りて読んだ。
    やさしくも独特で詳細なタッチで書き込まれた熱量溢れるページは、それまで読んできたどのマンガとも違った。
    これは漫画という形をしているけれど内容は環境問題と社会問題にかかれた論文のようでもある。


  2. 星野道夫の宇宙(図録)】 2003年 朝日新聞社
    SNSのタイムライン上にたくさん方々の【7日間ブックカバーチャレンジ】が並びましたが、
    一番目にしたのは、写真家 星野道夫さんの本でした。
    ぼくとつながっている方々は、やっぱり星野さんの世界観に影響を受けて来られた方が多いってことかな。
    だからきっと友達になったんだ、とあらためて。


  3. 時々、風と話す】   文・原田宗典 絵・沢田としき 1989年 角川文庫
    バイクの免許を取った頃に手にして、
    素晴らしく感銘を受けたわけでも、いつも読んでるというわけでもないけれど、
    なぜか引っ越してもずっと傍らに置いてある。
    原田さんの描くオートバイのある暮らしはどこか間が抜けていて愛おしい。せつなくて、爽快な読後感。
    当時、アウトライダー誌面での連載をまとめたものだそうです。


  4. バイクで駆ける地球食べある記】  賀曽利隆 1996年 三一書房
    バイクといえば、ということで近年、毎年、夏の数日を東北で共にしている賀曽利隆さん。
    賀曽利さんが経験し味わってきた世界の食を紹介する本。
    世界の広さ、不思議さを感じると共に賀曽利さんの人柄が滲み出ていて面白い。
    「現地の人がふだん食べているものに不味いものはない!」という感覚、大好きです。
    食はやっぱりおもしろい!(いま調べたら増補版電子書籍化されてました〜楽しみが増えました。)


  5. 東京猫町】  荒木経惟 1993年 平凡社
    大学生時代、はじめて一眼レフカメラを手にして撮り始めた頃に手に入れた一冊。
    ここから一気に街の中にいる猫の姿から目が離せなくなってしまった。
    ある意味でぼくの人生を変えた一冊。
    あれから20年近くたって、この表紙のような黒猫と暮らすようになるとは思わなかったな。


  6. 羊をめぐる冒険】  上・下 村上春樹 2004年 講談社
    2006,7年頃、2月の北海道へ羊の取材へ行くことが決まったとき、
    先輩ライターさんに「北海道で羊といえば、これを読みながらいくといいよ」と勧めてもらった一冊。
    はじめての村上春樹。独特の世界観への没頭感、どっぷりと堪能しました。
    先輩は、若くして鬼籍へ入ってしまったのだけれど、
    彼と一緒に見て歩いて食べて、得た経験は、カメラマンとしても、人としても血肉になるものだった。
    山家一男さん、ありがとうございました。


  7. 塩の道】 宮本常一 1985年 講談社
    新潟県糸魚川から長野県塩尻あたりまでつづく塩の道。
    ライダー賀曽利隆さんの恩師にあたる民族学者の宮本常一先生が、塩が貴重なものだった当時を、
    どこにでもいる人々とその暮らしを見つめる視点から描かれた塩の流れ。
    それはつまり文化の流れでもあり、ひとの流れでもあり、興味が尽きません。
    いまはここから植物学者 中尾佐助さんの「料理の起源」へ繋がっています。
    こうやって興味がどんどん連鎖していくのも読書のおもしろいところ。
    あぁ、なんでもっと大学生の時に真面目にやらなかったんだろう


  8. 街並み 長野門前暮らしのすすめ 第39号】  門前町の食堂2005年 ナノグラフィカ
    その大学の大先輩、写真家 清水隆史さんが撮り下ろし、日常から長野を紹介する冊子「街並み」
    いつもの日常、なんてことはない曲がり角、そういった清水さんの視点が好き。
    特にこの号は長野の食堂、町中華を捉えていてお腹が空きます。
    今度長野へ行ったら、これを片手に食べ歩こうっと。


  9. 4色の猫 「猫と僕らと、そして写真と」】  2010年 TOKIMEKIパブリッシング
    最後の一冊は自分の本で。
    久しぶりに手に取って一ページ、一ページめくって見ました。うん、やっぱりいい(笑
    4人がこだわってきたものもよくわかるし、いま見ても色あせない一冊。
    というか、最近なかなか猫の撮影ができずにいるので、眩しくすら感じます。
    声をかけていただき、出版させていただいたTOKIMEKIパブリッシングのみなさん、
    そして4色の猫を応援してくださったみなさん、ありがとうございました。
    さて、緊急事態も解除されましたし、ちゃんと三密に気をつけながら、
    交差点でばったり出会っちゃう奇跡に期待して、カメラを持ってプラプラしてこよっと。







ずっと昔のだれかの思っていたことに、モーレツに感動したり、共感したり、
ものの見方がいろいろ変わって、それがその後の自分の生き方まで変えてしまったり。

本ていいな。
写真っていいな。

図書館も再開するということですし、積読ままになっている本も読み始めなきゃな。










猫は、やっぱり、
思うようには撮らせてくれないなぁ(笑

まぁ、それが楽しくて、やめられないんだけどね。







04 May, 2020

元気でやってます


日向ぼっこ中のあさ。午前中、ここでくつろぐのが日課。


 非常事態宣言発令中の日本。

 三食、家族みんなで家で食べることが増え、さて昼は何食べようかね、と朝ごはんを食べながら考えています。
 手早く、うどん?やきそば?らーめんかしら。たまには楽しみながら皮から餃子をつくってみよう〜!とか、ぼくがつくるとサッ炒めてパスタだったりと小麦粉率が高い。三食をきちんとバランスよく食べることの難しいこと。たまにはお弁当で外食気分を楽しんだり、いつもお世話になっているレシピサイトなどを見ながら献立を考えています。



こうして美味しく食事ができるありがたさを噛みしめながら。




 非常事態宣言発令中の日本。


 朝から猫と遊んだり、買い出しの途中に夕焼けを見たりして過ごしています。
こんな毎日でも、結構楽しくいられるのも、ありがたいことで。


猫がいてよかった。
オートバイがあってよかった。
そして、カメラがあってよかった。






ということで、元気にやってます。


18 April, 2020

ピンぼけ


 どことなくピントが合っていないような、そんな日々。






 放射能、ウイルス、そして、情報。
 ぼくたちは目に見えないものにめっぽう弱い。

 季節、陽気、気持ち。
 そんな形の定まらないものがたまらなく愛おしかったりする。




カメラのファインダーをのぞくと、そこには目に見えるものだけが映っている。
写真には目には見えていないものも確かに写っている、ような気がしている。 
 

 たまにはピンぼけでもいいんじゃないか。

 そんなことをポカンと思い浮かべながら、ひとけのない河川敷をてくてく歩いて帰路に着く、四月好日。


13 March, 2020

季節限定


 冬季限定、牛すじらーめん、半チャーハンつけて、950円。

 ぱっと見たところ麺は細麺。まずは一口スープを啜る。さっぱりとした澄んだスープにピリッとラー油、牛すじのしっかりとした旨味も感じられます。ニラと白髪葱が彩りと香味を引き立て、いよいよ牛すじに箸を伸ばすとホロホロと崩れ落ちる柔らかさ。肉量もたっぷりで満足感が高い。細麺との相性がまたいいなぁ。うんうん、これこれ、と頷きながら一気に食す。お肉とスープを少し残しておいて、パラパラの半チャーハンをスプーンで口に。チャーハンを食べて、スープを一口。そしてまたチャーハンに。

 至福。やっと食べれたよ。

 娘の絵画教室の先生の小さい頃から馴染みのお店。先生にこの時期限定のこのらーめんの話を聞いて、いてもたってもいられずにいってきました。練馬で創業50年超の町の中華料理店「好楽」。迷うほどたくさんのメニューを、アツアツっ、ホカホカっで、あっという間にテーブルに運んでくれる。中華料理屋さんって、本当にすごい。四川料理店出身の店主さんの麻婆豆腐と餃子もおすすめと聞いていたので、次回来訪も楽しみです。美味しかった、ごちそうさま、またきます〜。




好楽
昼 11:30-14:00/夜 18:00-21:00/火休(不定休)
東京都練馬区中村北1-11-16
03-3998-3387




 この日は、所用があって、ひさしぶりに区役所に。二十階からの展望は天気がいいと、素晴らしい。眼下には東へと伸びていく目白通り、正面のビル群が池袋でその奥にはスカイツリーもよく見えている。右手が新宿副都心。

 実はこの日の晩、地元の博多らーめん屋がリニューアルしていたことを思い出して、そちらでも一献。濃厚な豚骨スープに硬めの細麺。香ばしい厚切り焼豚が満足感高し。らーめんの世界も壮大だなぁ。
 毎食ラーメンでお腹ぽっこり。プールは休業中だし、こりゃ、やっぱり走るしかないか。


 世の中が、悪い方向に大きく動いている、らしい、けれど、実感としては、日々、日が長くなって、上着が一枚薄手になった。春がもう来てる。日常をしっかりと続けていこう。











04 March, 2020

いちごスプーン



いちごスプーンってしってる?


以前、若い編集さんと話していて、
このスプーンの存在を知らないことに驚いた。
ぼくより少し若い世代のスタイリストさんは知ってた。
「どの家にも必ずあったよね〜(笑」

よく考えてみると、
デザインも用途も” いちご ”に特化したこのスプーン、
ある時期に多くの家庭に普及した懐かしの昭和のスプーン、
すごいのではないか、と。




そんなことを思いながら、


平たくなったスプーンの底で、いちごを潰して、



砂糖をお好みで小さじ2くらい。



牛乳もお好みで。ヨーグルトでも美味しいよね。




で、よく混ぜて、いただきます。
最後に甘ずっぱい いちごミルクを飲み干すのが大好きだった。



コロナウィルス対策としての突然の休校によって、学校給食も突然の停止。
全国的に牛乳が余剰になり農家さんたちも困っています。
仕事でお世話になっている料理レシピサイトNadiaさんでは、


旬のいちごも小粒でかわいい子がそろそろ店頭に並び始めました。
懐かしのいちごスプーンで、牛乳と一緒にいかがですか?