29 May, 2020

5月のおわりに


あぁ、今年はなんて春だったのだろう。 
と、いつか懐かしく思い出す日が来るのだろう。
とんでもない非日常が、日常と地続きでやってきた。
つながったまま、それがだんだん日常になってゆく。 

こんなに引きこもっていた5月は誰もがはじめてだよね。

家の中にあるものを掃除して、断捨離して、
集積場には連日たくさんのゴミ袋が出されていた。
買い物はストレス解消のひとつでもあるけど、
外出すらままならない中、ついつい家にいてポチッと。
オンラインでの注文が推奨もされて、とても便利で、頼りにした。

医療関係者と食料品販売の方々、
配送運送関係の方々、ゴミの収集や焼却の方、
緊急事態でもいままでどおり、いや、
いままで以上に奮闘しないといけなかった業種のみなさん、
ありがとうございます。

だれかのおかげで世の中が保たれていることを、
実際に目の当たりにする3ヶ月間でした。





たくさんの本を処分した中で、
あらためて大切な本を手に取ってみる。

ちょうど SNSの友人から、【7日間ブックカバーチャレンジ】のバトンが回ってきたこともあり何冊か紹介してみた。
備忘録も兼ねてブログに記録しておきます。(左上から時計回りに)






  1. 風の谷のナウシカ】 宮崎駿・作 1983年 徳間書店
    名作、全七冊。大学時代に友人に借りて読んだ。
    やさしくも独特で詳細なタッチで書き込まれた熱量溢れるページは、それまで読んできたどのマンガとも違った。
    これは漫画という形をしているけれど内容は環境問題と社会問題にかかれた論文のようでもある。


  2. 星野道夫の宇宙(図録)】 2003年 朝日新聞社
    SNSのタイムライン上にたくさん方々の【7日間ブックカバーチャレンジ】が並びましたが、
    一番目にしたのは、写真家 星野道夫さんの本でした。
    ぼくとつながっている方々は、やっぱり星野さんの世界観に影響を受けて来られた方が多いってことかな。
    だからきっと友達になったんだ、とあらためて。


  3. 時々、風と話す】   文・原田宗典 絵・沢田としき 1989年 角川文庫
    バイクの免許を取った頃に手にして、
    素晴らしく感銘を受けたわけでも、いつも読んでるというわけでもないけれど、
    なぜか引っ越してもずっと傍らに置いてある。
    原田さんの描くオートバイのある暮らしはどこか間が抜けていて愛おしい。せつなくて、爽快な読後感。
    当時、アウトライダー誌面での連載をまとめたものだそうです。


  4. バイクで駆ける地球食べある記】  賀曽利隆 1996年 三一書房
    バイクといえば、ということで近年、毎年、夏の数日を東北で共にしている賀曽利隆さん。
    賀曽利さんが経験し味わってきた世界の食を紹介する本。
    世界の広さ、不思議さを感じると共に賀曽利さんの人柄が滲み出ていて面白い。
    「現地の人がふだん食べているものに不味いものはない!」という感覚、大好きです。
    食はやっぱりおもしろい!(いま調べたら増補版電子書籍化されてました〜楽しみが増えました。)


  5. 東京猫町】  荒木経惟 1993年 平凡社
    大学生時代、はじめて一眼レフカメラを手にして撮り始めた頃に手に入れた一冊。
    ここから一気に街の中にいる猫の姿から目が離せなくなってしまった。
    ある意味でぼくの人生を変えた一冊。
    あれから20年近くたって、この表紙のような黒猫と暮らすようになるとは思わなかったな。


  6. 羊をめぐる冒険】  上・下 村上春樹 2004年 講談社
    2006,7年頃、2月の北海道へ羊の取材へ行くことが決まったとき、
    先輩ライターさんに「北海道で羊といえば、これを読みながらいくといいよ」と勧めてもらった一冊。
    はじめての村上春樹。独特の世界観への没頭感、どっぷりと堪能しました。
    先輩は、若くして鬼籍へ入ってしまったのだけれど、
    彼と一緒に見て歩いて食べて、得た経験は、カメラマンとしても、人としても血肉になるものだった。
    山家一男さん、ありがとうございました。


  7. 塩の道】 宮本常一 1985年 講談社
    新潟県糸魚川から長野県塩尻あたりまでつづく塩の道。
    ライダー賀曽利隆さんの恩師にあたる民族学者の宮本常一先生が、塩が貴重なものだった当時を、
    どこにでもいる人々とその暮らしを見つめる視点から描かれた塩の流れ。
    それはつまり文化の流れでもあり、ひとの流れでもあり、興味が尽きません。
    いまはここから植物学者 中尾佐助さんの「料理の起源」へ繋がっています。
    こうやって興味がどんどん連鎖していくのも読書のおもしろいところ。
    あぁ、なんでもっと大学生の時に真面目にやらなかったんだろう


  8. 街並み 長野門前暮らしのすすめ 第39号】  門前町の食堂2005年 ナノグラフィカ
    その大学の大先輩、写真家 清水隆史さんが撮り下ろし、日常から長野を紹介する冊子「街並み」
    いつもの日常、なんてことはない曲がり角、そういった清水さんの視点が好き。
    特にこの号は長野の食堂、町中華を捉えていてお腹が空きます。
    今度長野へ行ったら、これを片手に食べ歩こうっと。


  9. 4色の猫 「猫と僕らと、そして写真と」】  2010年 TOKIMEKIパブリッシング
    最後の一冊は自分の本で。
    久しぶりに手に取って一ページ、一ページめくって見ました。うん、やっぱりいい(笑
    4人がこだわってきたものもよくわかるし、いま見ても色あせない一冊。
    というか、最近なかなか猫の撮影ができずにいるので、眩しくすら感じます。
    声をかけていただき、出版させていただいたTOKIMEKIパブリッシングのみなさん、
    そして4色の猫を応援してくださったみなさん、ありがとうございました。
    さて、緊急事態も解除されましたし、ちゃんと三密に気をつけながら、
    交差点でばったり出会っちゃう奇跡に期待して、カメラを持ってプラプラしてこよっと。







ずっと昔のだれかの思っていたことに、モーレツに感動したり、共感したり、
ものの見方がいろいろ変わって、それがその後の自分の生き方まで変えてしまったり。

本ていいな。
写真っていいな。

図書館も再開するということですし、積読ままになっている本も読み始めなきゃな。










猫は、やっぱり、
思うようには撮らせてくれないなぁ(笑

まぁ、それが楽しくて、やめられないんだけどね。







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